手術室に入る前に手術着に着替えます。手術着は病院によっても違いますが、すぐに脱げるようにマジックテープなどで簡単に固定するものです。
手術室へ移動して手術台に乗るときは、多くの場合全裸です。手術でお腹を切る場所はほんの少しなのですが、感染を防ぐために広い範囲に剃毛や消毒をするためです。出産時とはいえ、全裸になるのは抵抗があるものです。病院によっては清潔な布などで可能な部分は覆ってくれるところもありますから、事前にその病院の手術方法を確認しておくのもいいかもしれません。
剃毛する範囲は、これもまた病院によって大きく異なります。胸の下からお尻の方まで、びっくりするくらいきれいにそってしまう病院もあるし、手術する箇所の周辺のみ、というところもあります。執刀する医師が必要だと考える範囲で違ってくるのですが、出産という大きな流れの中で、全裸ということも含めて、手術においては「まな板の上の鯉」と腹をくくってしまったほうがいいときもあります。医師や看護士は感染症や合併症から赤ちゃんとお母さんを守るために必死にがんばってくれていると信じましょう。
手術室ではお母さんの体の変化をいち早く見つけられるように、血圧計や心電図計が取り付けられます。赤ちゃんの心音もモニターで常に観察されていますから、そのときそのときに必要な処置を医師はすぐにとることができるようになっています。
説明を受けていたとはいえ、初めての帝王切開のお母さんはびっくりの連続でしょう。しかし、赤ちゃんの誕生を目前に控えているときです。お母さんには、次々に乗り越えなければいけないステップがまだまだ続きます。一人の命を受け止めていく母としての第一歩です。
帝王切開の出産についてご紹介します。日本において帝王切開での分娩は全体の16パーセントほどにのぼります。この数字をみてみると6人に1人の赤ちゃんが帝王切開によって誕生していることがわかります。近年では、帝王切開での分娩が増加傾向にあります。それは手術の技術が向上してより安全性が確保できるようになってきたことや、赤ちゃんの安全を重視する傾向によるものと考えられます。
また、帝王切開は外科手術の中でも安全性が高いのためお母さんの回復も比較的早い手術です。分娩時のトラブルで医師が訴えられる訴訟の増えてきたことから、より安全性の高い帝王切開が選択肢の一つとして大きな位置を占めるようになってきました。ちなみに、帝王切開の割合はアメリカでは3割だといわれております。そして、ブラジルや韓国では4割に上ります。
出産は命がけ、というように日本では昔から言われています。自然分娩での出産の大変さをさしているものですが、帝王切開での出産もまた、お母さんにとってとても大変な仕事です。一つの命を誕生させることに、文字通りお母さんは身を削っているのです。それは自然分娩でも帝王切開でもなんら変わったことはありません。母性なしには成し遂げられないものだといえます。
