帝王切開の手術は、最初にメスが入れられてから終了するまで30分から1時間程度です。開始して10分ほどで赤ちゃんと対面できます。また、手術室には執刀医のほかに補佐の医師、麻酔科や小児科の医師、看護師などたくさんのスタッフが待機しています。帝王切開の手術の途中で、お母さんや赤ちゃんに、もし、何かが起こっても直ちに対応できる状況になっています。
手術に先立って麻酔を打ちます。麻酔が効いたことを確認してから手術が始まります。下腹部にメスを入れる方向ですが、縦に切るか横に切るかは、医師の方針やお母さんの希望のほかにお腹の中の赤ちゃんの位置にもよります。皮膚から子宮に向かって、体は何層もの組織が重なっていますから順にメスを入れていきます。ちなみに子宮は特別のことがない限り横に切開されます。子宮の壁を切開して卵膜が破られると、羊水が溢れます。そして、医師の手によって子宮から赤ちゃんが取り上げられます。
赤ちゃんはすぐに待機している小児科の医師に引き渡されます。赤ちゃんの鼻や口に詰まっている羊水を吸引するなど、出生後まず最初に施される処置が済むと、やっとお母さんとの対面です。看護師に抱かれて赤ちゃんはお母さんの近くまで来てくれます。
とはいえ、お母さんがゆっくり赤ちゃんと過ごせる時間までに、果たさなければならないことがまだまだたくさんあります。赤ちゃんもまた、急激に外界に出されるわけですから、体温を一定に保ってあげる必要があります。そのためにも赤ちゃんは出生後、すぐ保育器に入るケースが多いようです。
局所麻酔を受けている母さんの下半身は感覚がないのですが、なかには痛みはないが切られている感覚や子宮に人の手が入っていく感覚は感じられる人もいます。手術ですから出血を伴います。お母さんの体のダメージを最小限に抑えるべく、速やかに手術を終えるよう医師もまたがんばっているのです。
帝王切開の出産についてご紹介します。日本において帝王切開での分娩は全体の16パーセントほどにのぼります。この数字をみてみると6人に1人の赤ちゃんが帝王切開によって誕生していることがわかります。近年では、帝王切開での分娩が増加傾向にあります。それは手術の技術が向上してより安全性が確保できるようになってきたことや、赤ちゃんの安全を重視する傾向によるものと考えられます。
また、帝王切開は外科手術の中でも安全性が高いのためお母さんの回復も比較的早い手術です。分娩時のトラブルで医師が訴えられる訴訟の増えてきたことから、より安全性の高い帝王切開が選択肢の一つとして大きな位置を占めるようになってきました。ちなみに、帝王切開の割合はアメリカでは3割だといわれております。そして、ブラジルや韓国では4割に上ります。
出産は命がけ、というように日本では昔から言われています。自然分娩での出産の大変さをさしているものですが、帝王切開での出産もまた、お母さんにとってとても大変な仕事です。一つの命を誕生させることに、文字通りお母さんは身を削っているのです。それは自然分娩でも帝王切開でもなんら変わったことはありません。母性なしには成し遂げられないものだといえます。
