赤ちゃんがお母さんのお腹から取り上げられると、いよいよ今度はお腹を閉じていかなければなりません。まず、赤ちゃんが取り出された子宮から胎盤が取り出されます。赤ちゃん同様、医師の手によって取り出されます。お母さんは麻酔が効いているとはいえ、かなりお腹を引っ張られるような感じがするようです。
子宮を閉じていく際に使用する糸はお腹の中で自然に溶けてしまう吸収糸ですので、後で抜糸の必要はもちろんありません。子宮の縫合が終わったら出血がないか確認します。このとき、子宮の傷口とほかの臓器の癒着がないように、やはり自然に溶けるシートで保護することもあります。また、子宮を閉じる前に子宮収縮剤を注射することもあります。
次々に、手術を始めたときとは逆にお腹の組織を縫合していきます。お腹の表面以外はすべて、解ける糸を使用します。最後に皮膚の表面を縫合して手術は終了します。
お腹の皮膚にできた傷口を縫合するものですが、従来用いられていた手術縫合用の糸を使用する場合のほか、溶ける糸や大きめのホッチキスのような器具(ステープラー)で何箇所もとめる方法があります。従来の糸を使って縫合したときは、経過にもよりますが、術後1週間前後で抜糸が行われます。引きつっていたものが解放されたように痛みが消えます。ただし、抜糸のときはある程度の痛みはあります。
抜糸ではありませんが、ステープラーも押さえの芯(形状もホッチキスの芯をちょっと大きくしたものという感じです)を抜きますが、抜くときはプスプスとスムーズに抜けるので、「痛い」と感じるほどではありません。傷口もステープラーを使用したときのほうが、きれいになるようです。糸を用いると切開した傷に対して垂直に短い跡が残りますが、ステープラーの場合さしたところだけ小さく跡がつきます。
帝王切開の出産についてご紹介します。日本において帝王切開での分娩は全体の16パーセントほどにのぼります。この数字をみてみると6人に1人の赤ちゃんが帝王切開によって誕生していることがわかります。近年では、帝王切開での分娩が増加傾向にあります。それは手術の技術が向上してより安全性が確保できるようになってきたことや、赤ちゃんの安全を重視する傾向によるものと考えられます。
また、帝王切開は外科手術の中でも安全性が高いのためお母さんの回復も比較的早い手術です。分娩時のトラブルで医師が訴えられる訴訟の増えてきたことから、より安全性の高い帝王切開が選択肢の一つとして大きな位置を占めるようになってきました。ちなみに、帝王切開の割合はアメリカでは3割だといわれております。そして、ブラジルや韓国では4割に上ります。
出産は命がけ、というように日本では昔から言われています。自然分娩での出産の大変さをさしているものですが、帝王切開での出産もまた、お母さんにとってとても大変な仕事です。一つの命を誕生させることに、文字通りお母さんは身を削っているのです。それは自然分娩でも帝王切開でもなんら変わったことはありません。母性なしには成し遂げられないものだといえます。
