育児に関しては帝王切開でも自然分娩でもなんら変わりはありませんが、痛み、という点では帝王切開で出産したお母さんは、一時的ではありますがつらい時間を過ごさなければなりません。
帝王切開は縫合する前に子宮をきれいにするので、悪露は出ないようにイメージされがちですが、むしろ帝王切開のほうが長引く傾向にあります。2ヶ月近く続くことも珍しくはなく、子宮を切開しているので心配になってしまうお母さんもたくさんいます。また、後陣痛も子宮収縮の薬を体内に入れて促すことが多く、やはり産後すぐはかなりの痛みです。しかしこれは自然分娩であっても同じことです。ただ、若干帝王切開のほうが子宮の回復も遅れるようです。手術の傷跡の痛みに関しては日にち薬、と考えるしかありませんが、引きつるような痛みがあります。
退院してからは、お手伝いをお願いできる人がいる場合はいいのですが、くれぐれも無理をせず、休むことを最優先しましょう。買い物がとても難しいので、産前から宅配してくれる業者を見つけておくと助かります。
産褥期で一番気がかりなのは、「心」です。これは帝王切開に限りません。自然分娩であっても、膣が大きく裂けてしまったときなどには20針以上も複合しなければいけないこともあります。出産後の痛みの強さは、慣れない育児の疲れとともにお母さんの心にはとても大きな負担です。痛みがひどく体が回復しないときは、赤ちゃんがかわいい、と心から実感することも難しくなります。
それが、「帝王切開での出産だから」と思ってしまうことが多いようです。心と体はつながっています。大切なことは、つらいとき、「助けて」といえることです。それが、家族じゃなくても、恥ずかしくても、です。本当につらいとき、勇気を出して助けを求めた経験は、きっとこれからの子育てにはとても大切な記憶となってくれるでしょう。出産前から、出産後のことを家族で話し合っておくこともとても大切です。
産褥体操はできるだけ早めに始めたほうがいいでしょう。ベッドの上でできるものもあります。もちろん、痛いときに無理は禁物ですが、足首を動かすだけ、などの簡単なものもありますから、病院のスタッフに聞いてみるといいでしょう。
帝王切開の出産についてご紹介します。日本において帝王切開での分娩は全体の16パーセントほどにのぼります。この数字をみてみると6人に1人の赤ちゃんが帝王切開によって誕生していることがわかります。近年では、帝王切開での分娩が増加傾向にあります。それは手術の技術が向上してより安全性が確保できるようになってきたことや、赤ちゃんの安全を重視する傾向によるものと考えられます。
また、帝王切開は外科手術の中でも安全性が高いのためお母さんの回復も比較的早い手術です。分娩時のトラブルで医師が訴えられる訴訟の増えてきたことから、より安全性の高い帝王切開が選択肢の一つとして大きな位置を占めるようになってきました。ちなみに、帝王切開の割合はアメリカでは3割だといわれております。そして、ブラジルや韓国では4割に上ります。
出産は命がけ、というように日本では昔から言われています。自然分娩での出産の大変さをさしているものですが、帝王切開での出産もまた、お母さんにとってとても大変な仕事です。一つの命を誕生させることに、文字通りお母さんは身を削っているのです。それは自然分娩でも帝王切開でもなんら変わったことはありません。母性なしには成し遂げられないものだといえます。
