帝王切開の術後

帝王切開の術後

帝王切開の手術ではお母さんのお腹を切開して赤ちゃんを取り上げるので、10cmから12cmくらいの傷が残ります。切開方法は縦切開と横切開があります。

 

縦切開はおへその辺りから下に向かってお腹の中心を切開します。出血が少なく手術時間が短いので、お母さんにとってはより安全で負担の少ない切開方法です。緊急帝王切開などの場合、縦切開になることが多いようです。おへそから下ですから、傷跡は下着には隠れません。横切開と比べると少し目立ってしまうといえるでしょう。

 

横切開は、お腹の下のほうを横に切開するので、結果として傷口は下着に隠れやすくなります。また、人間の皮膚は横方向の傷を速やかに治癒する性質があり、早く目立たなくなるのも横切開です。

 

縦切開になるか横切開になるかは、出産を行う病院や医師の方針、帝王切開の原因、赤ちゃんの位置、あるいはお母さんの体質などさまざまです。しかし、特に問題がなければ、どちらかお母さんが選べる病院が増えてきているようです。自然分娩を予定していても、急遽帝王切開に切り替わる可能性は誰にでもあります。切開方法に希望がある場合は、事前に病院の方針などを聞いておいたほうがいいでしょう。

 

また、皮膚だけではなく、子宮も、筋肉や腹壁などの組織も切開していますから、複合もそれぞれ行っています。傷口が何層にも重なっている状態です。子宮の切開は、特別なことがない限り横切開で行っています。

 

傷跡はお腹が小さくなるにしたがって小さくなってきます。また、放っておくと皮膚の引っ張る力は傷と垂直方向に働くので傷口が広がってきてしまうこともあります。手術の跡を目立たなくするためのテープが市販されていますから、気をつけてケアを行いましょう。次第に赤みが取れ、目立たなくなっていきます。

 

一般的に帝王切開でできた術後の傷は、3ヶ月前後で赤みが消えてきて徐々に薄くなり、1年経ったころにはほとんど目立たないくらいにきれいになります。また、お腹が小さくなるにしたがって、傷口も小さく目立たなくなってきます。

 

しかし、術後のケアや体質によってはケロイド状になってしまう人もいます。赤く盛り上がってしまうのですが、すれると痛かったり痒かったりすることもあります。ただ、ケロイド状になってしまったからといって、治らないわけではありません。時間とともにだんだん薄く目立たなくなってきます。それでも、一部の人には残ってしまうこともあります。しかし、それも傷口のケアを丁寧にすることで、治療する方法はあります。

 

病院で指導してくれるといいのですが、術後の早い段階、抜糸やステープラーの針が抜けた後にテープを貼って傷口を寄せておくという治療方法があります。通気性の良いテープが市販されていますし、病院で購入できることも多いので聞いてみてください。傷口は縫合するときに寄せてあるのですが、皮膚には引っ張る力が傷と垂直方向に働きます。

 

また、人の肌は横方向に引っ張る力のほうが強いので縦切開のほうが傷口が開きやすいということもあります。傷口がきれいにくっついてしまうまで皮膚をテープで寄せておくことで、傷口の開きを防いで傷跡をきれいに目立たなくすることができるのです。ただし、テープでかぶれを起こす体質の人もいますから、いくつかのテープを試してみて自分の皮膚に合うものを探すことも大切です。

 

また、一時的にケロイド状になってしまっても、塗り薬とテープの併用での治療もできます。薬に関しては授乳期間などの関係で、必ず医師の指示によらなければなりませんが、ケロイド状になってしまったからといって、あきらめてしまうことはありません。また、形成外科などで処置してもらうこともできますから、相談してみましょう。何もしなくてもきれいに傷跡が治ってしまう人もいますが、できるだけ早目に術後のケアを始めておくほうが、きれいなお腹に戻すにはやはりいいでしょう。

 

育児に関しては帝王切開でも自然分娩でもなんら変わりはありませんが、痛み、という点では帝王切開で出産したお母さんは、一時的ではありますがつらい時間を過ごさなければなりません。

 

帝王切開は縫合する前に子宮をきれいにするので、悪露は出ないようにイメージされがちですが、むしろ帝王切開のほうが長引く傾向にあります。2ヶ月近く続くことも珍しくはなく、子宮を切開しているので心配になってしまうお母さんもたくさんいます。また、後陣痛も子宮収縮の薬を体内に入れて促すことが多く、やはり産後すぐはかなりの痛みです。しかしこれは自然分娩であっても同じことです。ただ、若干帝王切開のほうが子宮の回復も遅れるようです。手術の傷跡の痛みに関しては日にち薬、と考えるしかありませんが、引きつるような痛みがあります。

 

退院してからは、お手伝いをお願いできる人がいる場合はいいのですが、くれぐれも無理をせず、休むことを最優先しましょう。買い物がとても難しいので、産前から宅配してくれる業者を見つけておくと助かります。

 

産褥期で一番気がかりなのは、「心」です。これは帝王切開に限りません。自然分娩であっても、膣が大きく裂けてしまったときなどには20針以上も複合しなければいけないこともあります。出産後の痛みの強さは、慣れない育児の疲れとともにお母さんの心にはとても大きな負担です。痛みがひどく体が回復しないときは、赤ちゃんがかわいい、と心から実感することも難しくなります。

 

それが、「帝王切開での出産だから」と思ってしまうことが多いようです。心と体はつながっています。大切なことは、つらいとき、「助けて」といえることです。それが、家族じゃなくても、恥ずかしくても、です。本当につらいとき、勇気を出して助けを求めた経験は、きっとこれからの子育てにはとても大切な記憶となってくれるでしょう。出産前から、出産後のことを家族で話し合っておくこともとても大切です。

 

産褥体操はできるだけ早めに始めたほうがいいでしょう。ベッドの上でできるものもあります。もちろん、痛いときに無理は禁物ですが、足首を動かすだけ、などの簡単なものもありますから、病院のスタッフに聞いてみるといいでしょう。

 

帝王切開での出産後におけるダイエットですが、手術による傷の回復に気をつけるという点を除いては自然分娩と変わりません。

 

ウエストやお腹などのスタイルの回復に関しては、帝王切開用で出産した人用のウエストニッパーがあります。傷に当たる部分にクッションなどがついていて、術後のお母さんの体に配慮して作られています。もちろん、傷口の回復状況を見ながらの使用開始になりますが、比較的、、入院中からの使用という人が多いようです。その際には、医師や看護士の指導の下でつけることになりますから安心です。あまりきつく閉めると傷口が開いてしかうことがありますので、最初はゆるめに巻きます。

 

1ヶ月検診などで医師の診察を受けながら徐々にきつく巻いていったほうがいいでしょう。また、ニッパーの代わりにさらしを巻く方法もあります。通気性がよく蒸れません。また、締め付けも自由に調整ができます。また、体型補正用のガードルもあります。出産後、なかなか買い物に行くのは難しいと思いますので、あらかじめ用意しておいたり、インターネットなどで注文し購入する方法もあります。

 

運動に関しては、子宮の回復を促す産褥体操は、出産後の早い時期から始めたほうがより効果がありますし、術後の傷に影響のない体操などは病院でも指導してもらえます。検診などのときに傷口がしっかりしていれば、お医者さんからも運動の許可は下りるでしょう。急激な運動を自己判断ですることは危険ですが、お医者さんに相談しつつ、むしろ体を動かすために外へ出たほうが、お母さんにとっても気分転換にいいのです。ちょっとおしゃれをして買い物がてら散歩をするだけでも、ずっと家の中で赤ちゃんの世話をしているときには新鮮な喜びを感じるでしょう。

 

体重に関するダイエットは、育児に追われる段階ではあまりお勧めしません。もちろん、お医者さんの指導によって行われるものは除きますが、母乳保育を行っているとき、または、行っていなくても育児は体力勝負です。栄養のバランスを崩しかねないダイエットは、自戒しなければならない時期です。栄養バランスの取れた食生活をしながら、適度に赤ちゃんの気分転換を兼ねた散歩などの運動を取り入れつつ、体を引き締めていきましょう。

 

帝王切開での出産以降の妊娠ですが、同じように帝王切開でないと出産できないということはありません。帝王切開の後に自然分娩での出産を経験しているお母さんは多数います。では、帝王切開になる場合と自然分娩になる場合とは、何が違うのでしょうか?

 

まず、最初の帝王切開の原因が何か、ということからみてみます。狭骨盤や遷延分娩など、2回目以降も条件が変わらないときは、帝王切開が予定されます。また、最初の帝王切開で子宮の切開を縦に行っているときも、傷口が自然分娩のいきみの圧力に耐えられず子宮破裂を起こしやすいので帝王切開となります。逆子や前置胎盤などで初回帝王切開になった場合は、2回目以降同じ状況でなければ自然分娩が可能です。

 

ただ、一度子宮を切開しているので、一般の自然分娩に比べるとリスクは大きくなります。何年か経過していても、一度メスを入れた場所はどうしてもほかの箇所よりは弱くなっているので、再度裂けてしまう危険性は考えられるからです。このリスクのために、一度帝王切開を経ているお母さんは、すべて帝王切開での出産を勧められる病院も決して珍しくはありません。最優先されるべきは、赤ちゃんと母体の保護なのです。

 

自然分娩が可能であると医師が判断した場合、お母さんもまた、自然分娩に伴うリスクを理解したうえで、きちんと自分の意思で決定しなければなりません。また、同意書へのサインや、少しでも危険性が高まった場合は速やかに帝王切開への切り替えを行うことなど、さまざまな約束事が取り交わされます。病院としても、リスクのある出産ということで、想定される状況に速やかに対応できる準備やたくさんのスタッフを待機させる必要があります。

 

また、帝王切開での出産後何年経過しているかも大きな要素です。お母さんの体への負担を考えれば、年子での出産は避けたほうがいいでしょう。傷がまだ癒えていない状態での妊娠は、お腹が膨らんでくることだけでも傷口が開きやすいリスクが考えられます。自然分娩で産んだとしても、1年はあけてからの妊娠が望ましいと言う医師もいます。どちらの方法にしろ、出産はお母さんの体にとっては大事業です。あせらず、ゆっくりと体を休ませてあげましょう。

 

自然分娩か帝王切開か、次の出産まで何年待つか。いずれにせよ、自分が置かれた状況でベストを尽くす、おそらくは子育ての中で繰り返し直面することの一つとして、どうか、落ち着いて考えてください。